CoinPostで今最も読まれています

ビットコイン半減期後に相場反発、マイナー収益や取引手数料高騰の背景は?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

前週末19日の米NY株式市場は、ダウ平均株価は前日比211ドル(0.56%)高、ナスダック指数は319ポイント(2.0%)安で取引を終えた。

イスラエルの報復攻撃に伴いエスカーレーションの懸念された中東情勢の緊張は緩和されたものの不確実性は高い。また、インフレの高止まりでFRB(米連邦準備制度)の利下げ期待が後退する中、相場をけん引してきたエヌビディアが前日比10%安に沈み大陰線を付けるなど、ハイテク銘柄への逆風が強まった。

暗号資産関連株では、コインベース、マイクロストラテジーともに3%程度下落している。

CoinPostアプリ(ヒートマップ機能)

東京株式市場では、前週まで大幅下落していた日経平均株価(前引け)は反発し、前日比266円(0.72%)高となったが、米エヌビディア安の影響もあり半導体銘柄は軒並み続落した。

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比0.88%安の1BTC=64,758ドルに。

BTC/USD週足

週足は3週連続の下髭陰線。米株指数に弱気シグナルが見え始める中、ビットコインも安値を切り下げるなどモメンタムは芳しくない。

前週末にかけて足元売られすぎていた主要アルトのリバウンドも見られたが、日柄調整不足との指摘もある。

関連:ビットコイン6万ドルの維持が焦点、半減期で相場は不安定になる可能性|bitbankアナリスト寄稿

マイナー収益が急増

半減期に伴い、マイナー(採掘業者)のブロック報酬は、6.25BTC3.125BTCに大幅減少した。

しかしその一方、Glassnodeによると、ビットコインマイナーの収益は4月20日に記録的な数値である1億700万ドルを観測している。この内、4分の3(75.4%)がネットワーク取引手数料によるものだという。

Ychartsの提供する「Bitcoin Average Transaction Fee(ビットコインの平均取引手数料)」データを参照すると、半減期前日の19日までは20ドル前後で推移していたが、20日時点でおよそ6倍水準の128.4ドルまで跳ね上がった。

ビットコイン取引がマイナーによって処理され、確認されたときの平均手数料を示すデータであるが、1年前の平均取引手数料は1.91ドルだった。過去には、2017年の仮想通貨バブルの際に60ドル近くに達したように、ネットワークの混雑時には高騰する傾向にある。

これらの飛躍的な数値の伸びは、ビットコインブロックチェーン上で代替可能なトークン作成を可能にするプロトコルであるRunes(ルーン)が20日にローンチしたことが影響を及ぼしている。これは、一世を風靡したオーディナルズ(Ordinals)の生みの親によるもので、Rune作成のEtchingおよびミント(生成)にユーザーが殺到したことを示唆する。

Ordinals(Inscriptions)は、代替不可能なNFT(非代替性トークン)に類似した設計を持つのに対し、ルーンはトークン発行に近く、ミームコインのように機能するとされる。各Inscriptionは、独自のデジタルアイデンティティを持ち、コレクタブルやアートワークとしての価値を持つことができる。

暗号資産投資アプリ「Abra」のBill Barhydt CEOはRunesについて、「ブロックチェーン上で代替可能なトークンの作成を簡素化し、効率を向上させることで現在の代替トークン標準(BRC-20)を改善するものだ。ビットコインに新たに導入されたトークン標準として定義されている。」などと説明した。

OrdinalsおよびRunesの生みの親であるCasey Rodarmor氏曰く、「Runeはウォレットアドレスに関連付けられたアカウントベースではなく、UTXO(Unspent Transaction Output:未使用トランザクション出力)ベースであるため、Ordinalsほどビットコインネットワークに過負荷をかけない。」

これはビットコインのUTXOモデルを使用し、ビットコインブロックチェーン上で直接行われる仕組みであるため、ビットコインネットワークのデータベースを圧迫しない。一方でユーザーが急増したことでビットコイン取引手数料の上昇要因となっているようだ。

オーディナルズを利用したトークン規格の「BRC-20」では、代替可能なトークンのバーン(焼却)及び鋳造プロセスを通じて余分なジャンクUTXOが生成されてしまい、手数料の高騰を招く問題が指摘されていたが、Runesはブロックチェーンに大量の追加データを保存することなく機能するという。

関連:ビットコインの新トークン標準「Runes」が注目される理由

ビットコインマイナーの収益性向上は、マイナーの運用コスト効率化につながり、最先端のマイニングマシンやインフラ投資にポジティブであることを意味する。

そうなれば、ビットコインネットワーク全体のセキュリティや堅牢性強化にも寄与するほか、保有するビットコイン(BTC)の売り圧力減少につながると見る向きもある。

ただし、mempool.spaceのデータによると、21日時点での平均手数料は大きく下がっており、マイナーの取引手数料の高騰が今後も続くかどうかは不確実性の高さも指摘される。

関連:ビットコイン半減期とは?過去相場の価格変動から探る2024年の展望

関連:ビットコインの買い方|投資メリットやリスク、おすすめ取引所は?

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
10:20
大統領候補ケネディJr氏、米政府のビットコイン積立を提唱
ケネディJr氏は、米大統領に当選した場合、政府が財務資産として仮想通貨ビットコインを毎日購入し積み立てるようにすると話した。
09:45
3兆円運用の米ミシガン州の退職年金基金、10億円以上のビットコイン現物ETF保有
仮想通貨ビットコインの現物ETFに対する米国の年金基金からの需要は増加傾向にある。運用資産総額3兆円に相当するミシガン州の退職年金はウィスコンシン州とニュージャージー州のジャージー市の年金基金に続き、ビットコインETFの株を保有していることを報告した。
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア